プロローグ

モンスターと呼ばれる生き物がいる。

彼らは人間を憎み、襲う存在だと思われていた。

―ある若者がその力を見つけるまでは。

彼に宿った不思議な力はモンスターを善良な存在に変えることができた。
人々はその力を癒す力だと考え、彼を<癒術士>と呼ぶことにした。

やがて国王となった彼は人々に告げた。
「わたしは、モンスターと人間が共に暮らす、そんな国をつくろう」

それから数十年。

王国は栄えた。
人々は癒されたモンスターと共に支えあって暮らすようになった。

癒しの力は他の者にも現れ、
<大癒術士>と呼ばれる青年を筆頭に、少ないながらも癒術士たちは、
まだ癒されていないモンスターを癒すべく、世界を巡っていた。

そしてとある辺境の村。
ここに、若き癒術士の卵が生まれる。

今はまだ、誰も知らない。

彼と少女が世界を揺るがす未来を―

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