第15話:指輪の相手

『呪い』1【……何だろう、これ。星が降って来たみたいに、きらきらして……】
『呪い』2【あったかい、ね】
『呪い』2【……お星さまが、祝福してくれた。兄さまは、嘘つきじゃなかったんだ】
『呪い』1【……】
『呪い』2【ねえ、兄さま!お祝いしよう!だって、今日は星祝祭でしょ?】
『呪い』2【俺たち、この世界にいてもいいんだよ!】
『呪い』1【……うん】
『呪い』2【アインレーラ。生まれてきてくれて、ありがとう】

メルク「みゅわぁ~!何ともロマンチックなのですよ~!」
ユウ「あの塔の呪いが、こんなところにまで届いたのか……。町の人たちもモンスターもいつも通りみたいだし、何も問題はないみたいだ。」
ユウ「『禁じ手』ってこういうことか。呪いは解決していないのに、全部解決させちゃったんだもんな。」
メルク「みゅふふ~、素敵なサプライズなのです!」
ユウ「ああ。」
ユウ「……よかった。最後はこうして、楽しいお祭りを過ごせる日になって。」
「そこの君たち!星祝祭と言えばこの指輪魔道具!一つ、思いを込めて買っていかないか?」
メルク「みゅわ~っ!指輪がたくさんなのですよ!」
ユウ「……。」
メルク「……。」
メルク「じー……なのですよ。」
ユウ「ものすごい視線を感じる……。」
ユウ「ったく、そんなに見るなって。元々買っていく予定だったんだからさ。」
メルク「ありがとうなのですよ~!」
ユウ「お礼を言うのはこっちの方だよ。」
ユウ「メルク。生まれてきてくれて、ありがとう。」

フレデリック「……『異常は見られるものの、危険はなし』と。」
クリフォード「締まらん報告書だな。まだ異変は解決していないというのに。」
フレデリック「だが、事件は解決したと言える。」
フレデリック「私とお前が組んで解決しない事件などない。そうだろう?」
クリフォード「ふん、当然……、」
クリフォード「いや待て、そもそもオレはお前と組んでいない!」
フレデリック「む、そうだったか?だがこの前も、そのまた前も私とお前で組んで事件を解決したではないか。」
クリフォード「あれは全部、仕方なくお前を手伝ってやっただけだ!くそう、このままではオレとお前が本物のコンビだという刷り込みが……!」
エミー「ボース、クリフォードさーん!お疲れさまー!」
シャルドネ「はい、これ。あたしたち二人からの、プレゼント!」
フレデリック「おお……!悪いな。」
クラフト「と、僕からも。」
フレデリック「クラフト!」
クラフト「君たちにはいつも世話になってるし、今回は特に、感謝してるからさ。僕の贈り物も受け取ってくれるかい?」
クラフト「この、呪いの……、」
クリフォード「ジョークだろうな。」
クラフト「ジョークだよ?」
シュトフティ「がおー!」
フレデリック「ぬおっ!?シュトフティ!?」
クラフト「あ、こらこら。人が多いからあんまりはしゃいじゃダメだよ。」
クラフト「この子、僕の店の品物が気に入ったみたいでね。それなら、住み込みの助手としてこれから色々手伝ってもらおうかって話になったんだ。」
クラフト「アカデミーに呼ばれでもしたら、きっと忙しくなるだろうからね。」
シュトフティ「がおー!」
シャルドネ「いい助手じゃない。ド派手で目立ってるわよ、とってもね!」
「ぬぐぐ……。」
シルキー「あの巨大ぬいぐるみめ!いたずらにわたしの心をかき乱すとは……、風紀違反で没収せねばなるまい!」
リービット「あれはぬいぐるみではなくモンスターだ。それに、ぬいぐるみが欲しいなら露店で買えばいい。」
シルキー「大きいのがいいのだっ!超!巨大なのが!な!」
リービット「まったく……。」
リービット「指輪は既に用意していたのだがな。まあ……、プレゼントが多くて、悪いことはないか。」

ネウル「きゅるるるぅ~!」
マンドラ「みゃ!みゃあっ!」
フロッパ「けろけろ~。」
キーフェルン「るん……。」
キーフェルン「るん。」
キーフェルン「……るん、るん、る~ん。」

ルスティ「ユ、ユルエ!その、俺からの指……、」
ユルエ「たたた、大変なんだよぅ!るーくん!わたし、財布をおうち家に忘れてきちゃったんだよ!」
ルスティ「……。」
ルスティ「……ったく、しょうがねえな。財布くらい貸してやる。今から取りに戻ったって、祭りが終わっちまうしな。」
ユルエ「るーくん……!ありがとうなんだよ~!」
ルスティ「んで、何が欲しいんだ。」
ユルエ「うんっ!あのね、るーくんにあげる指輪を買いたいんだよ!」
ルスティ「そうか、俺への指輪……、」
ルスティ「俺への指輪!?」
マーフィー「そ、そこの方、星祝祭の指輪をお求めでしょうか?でしたら、魔道具カンパニーの新作指輪型魔道具をお試しになっては、い、いかがでしょうっ!?」
ラプカ「んふふふ、初々しくてカワイイキミたちにはこれがおすすめ!なんとこの魔道具はねぇ、この魔道具はねぇー!」
リッカリリィ「……治安維持部に危険な変態だって勘違いされる前に、縛っておいた方がいいかしら?」

アイザック「……というわけで。『アストロギアの夜』、そして緊急事態においても君はきちんと、自分の力をコントロールできた。」
アイザック「素晴らしかったよ、リュカリュカ。俺からの試験は見事合格だ。」
リュカリュカ「お師匠様……、あ、ありがとうございます……!」
リュカリュカ「それに……、ピエトロも、ありが、とう。」
ピエトロ「む、おれは何もしていないぞ?」
リュカリュカ「そんなこと、ない。……いっぱい、応援、してくれた。」
アイザック「リュカリュカ、ピエトロくん。この彗星の光術士から、マーヴェラスな君たちに親しみと敬意を込めて贈ろう。」
リュカリュカ「あ……。」
ピエトロ「おおっ!指輪だ!」
アイザック「星の祝福は、もう君たちの手の中にあるよ。」
アイザック「……しかし。」
リュナリュナ「……嫌いだ。あんな奴、忘れてやる。」
リュカリュカ「お兄ちゃん……、も、ものすごく怒ってる……!」
ピエトロ「いや、あれはどちらかと言うと、すねているのではないか?」
アイザック「やれやれ。アインレーラには、あとで俺から早めに会いに来るように言っておくか……。」

シエラ「……騒がしいわね。みんな、浮かれちゃって。」
アロイス「君は行かないの?」
シエラ「一人で祭りに行くの、性に合わないのよね。まぁ、誰かとなら、少しは楽しめるかもしれないけど?」
アロイス「ああ。だからそういう服を着てたんだね。」
シエラ「何、その顔。ヘラヘラしないでくれる?」
アロイス「ごめんね。アカデミーにいた頃も、こんなことがあったって思ってさ。」
シエラ「そんなこと、まだ覚えてたの。」
シエラ「……別に、許してあげるわよ。あの時の続きって言って、私を連れ出しても。」

アインレーラ「……。」
レルハルニー「……お前は本当に、俺の知らないところで、ずいぶん成長したんだな。」
アシステア「……あ!あの、お兄さん。先生は……、」
レルハルニー「大丈夫。魔力切れと疲労で眠っているだけだ。」
アシステア「よかった……。」
アシステア「あのね、お兄さん。」
レルハルニー「うん。」
アシステア「先生と仲直りできた?」
レルハルニー「……。」
レルハルニー「うん。」
レルハルニー「すまなかった。あの森で、君たちを危険な目に遭わせた。」
レルハルニー「それから、ありがとう。……アインレーラのことを、近くで見てくれていて。」
アシステア「……うふふ。どういたしまして。」
「……エルバスの町からお越しの、アシステア・エルヴィヒちゃん。ご家族の方が、エルバス中央広場でお待ちです。」
アシステア「あ、あたしのことだわ!まだおうちに帰らないって言ったのに……、」
レルハルニー「君のことが心配なんだろう。君のことが大切だから、探しているんだよ。」
レルハルニー「……アインレーラのことは大丈夫。」
アシステア「……、」
アシステア「……うん。ありがとう、お兄さん。」
アシステア「さよなら。」
レルハルニー「……。」
「ご、ごめんなさい!あたし、忘れものしちゃった!」
レルハルニー「忘れもの?何を置いて行っちゃったのかな。」
アシステア「違うの。あたし、置いていくのを忘れちゃって……。」
アシステア「こ、これでよし!お兄さん、さようなら!」
レルハルニー「あ、ああ。」
レルハルニー「……この箱が『忘れ物』?」
アシステア「お兄さん!その箱はぜったい、開けちゃダメよ!」
レルハルニー「う、うん……。」
「さようならー……。」
レルハルニー「……。」

ヨルスウィズ「アシステアちゃん、お疲れさまー。」
アシステア「ヨルくん!町の見回りに行ってたんじゃなかったの?」
ヨルスウィズ「ま、この事件がどういう形であれ解決したからさ。もう俺が見回る必要はないみたい。」
ヨルスウィズ「んで、呼び出しが聞こえたから迎えに来たんだー。俺が責任を持つって言った手前もあるし、一緒に広場まで行こ?」
アシステア「ありがとう!ヨルくん!」
ヨルスウィズ「アシステアちゃん、何か明るくなったねー。」
アシステア「そう?」
ヨルスウィズ「うん!とっても。」
ヨルスウィズ「……アインレーラのこと、よかったの?もう、魔法が解ける時間だろ。そしたらあいつは、この夜のことを全部……、」
アシステア「いいの。」
アシステア「先生が今日のことを覚えていられないのは、あたしの力が足りなかったせいだもの。だから、…仕方ないの。」
アシステア「だからね、これからは、先生に思い出してもらえるようなあたしになるためにがんばろうって思うのよ。」
アシステア「もう先生の助手じゃないけど、あたしはたくさん、先生から教わったから。」
ヨルスウィズ「……。」
ヨルスウィズ「そっか。素敵な心掛けだね。」
ヨルスウィズ「そんなアシステアちゃんに、俺からプレゼント!じゃーん!」
アシステア「指輪だわ!も、もらってもいいの?」
ヨルスウィズ「もちろん!俺、アシステアちゃんのこと大好きだもん!」
ヨルスウィズ「ちなみに、月の指輪は学業技巧の上達を祈念する指輪だぞ。」
アシステア「がくぎょう……、」
ヨルスウィズ「アシステアちゃんがもっと魔法が得意になるように、ってこと。」
ヨルスウィズ「気が向いたら、アカデミーに遊びに来てよ。いつでも歓迎するから。」
アシステア「……うん!」
「エルバスの町からお越しの、アシステア・エルヴィヒちゃん。アシステア・エルヴィヒちゃん……、」
ヨルスウィズ「アシステアちゃん。」
ヨルスウィズ「君はきっと、素敵な魔法使いになれるよ。」

アインレーラ「……ん。」
アインレーラ「……ってー。あー、えらい目に遭っ……、」
レルハルニー「……。」
アインレーラ「……。」
アインレーラ「……とりあえず聞いとくんだけど、俺の知らねーうちに、一騒動あった?」
レルハルニー「……ま、まあ。」
アインレーラ「うわー、最悪!何か色々やらかした気しかしねー。何が起こったか聞きたくねー!」
レルハルニー「ア、アインレーラ……、」
アインレーラ「っつーか、マジで何が起こったんだ。俺の指にはまってんの、シエラに特注で頼んだやつだよな。何で使った形跡がねーんだよ?」
アインレーラ「まさか、俺が2年かけて仕込んだ切り札よりもっといい手があって、そいつで呪いは解けちまったとか?こんなもんで心を押さえつけなくてもよかったとか?」
アインレーラ「……。」
アインレーラ「あぁー!最悪、マジで最悪!今年の星祝祭はこんな予定じゃなかったっつーの!」
アインレーラ「……。」
アインレーラ「つか、何でいんの。」
レルハルニー「え。」
アインレーラ「ちょっと出てけよ。」
レルハルニー「えっ。」
レルハルニー「お、俺、何かした?その、またもしお前を知らないうちに傷つけてたなら、謝……、」
アインレーラ「いや、そういうめんどくせーのじゃねーから!何でもいいから外出てろ!」
レルハルニー「ごめんな……。」
アインレーラ「いい年してすぐ落ち込むんじゃねーよ!メンタル鍛えろ!」
アインレーラ「……。」
アインレーラ「あー、ひやひやしたわ。渡す前にネタ晴らしとか、さすがに恥ずかしすぎだよな。」
アインレーラ「……素の顔してんじゃねーよ。いつもの他人行儀な演技面でギスギスしてくれなけりゃ、こっちの調子が狂うっつーの。」
アインレーラ「……何だこれ、置手紙?」
アインレーラ「『先生へ。あたし、ちゃんとゆびわを直せました。先生のおかげです。ありがとうございました』」
アインレーラ「『魔法薬の効果を長持ちさせるお手入れの方法は……』?何だこれ。俺が買った時には、こんな注意書き、箱に……、」
アインレーラ「入っ、て……、」
アインレーラ「……、」
アインレーラ「……。」
レルハルニー「お、おい、アインレーラ!?大丈夫か?何があった?今、部屋の外まで光が……、」
アインレーラ「何でもねーよ。だから、そんなに心配すんな。」
アインレーラ「レルハルニー。」
レルハルニー「……。」
アインレーラ「……星憶魔宝石の指輪は、大切な記憶を閉じ込めてくれる、ね。」
アインレーラ「魔法じゃない奇跡ってのも、たまには起こるもんなんだな。」

ヨルスウィズ「あれから二週間かー。」
ヨルスウィズ「平和だな~。」
マリスジェム「平和じゃの~。」
ルナーティア「呪いは解呪も封呪もされておらず、依然放置されているままです。この状態は、異常事態と呼ぶべきではありませんか?」
ヨルスウィズ「こういうのは『お祭りムード』って言うんだよ、ルナーティア。」
ヨルスウィズ「ま、二週間この様子なら問題ないだろー。あ、マリー。アメちゃん食べる?」
マリスジェム「食べる~。」
ヨルスウィズ「おいしい?」
マリスジェム「んまい。」
ヨルスウィズ「やったー!」
マリスジェム「あ、そうそう。星祝祭の件で、君に伝えとくことがあったんじゃった。」
マリスジェム「君がアインレーラ君に魔術協会の動きをバラした件。あれ、あくまで国の機密扱いだし当事者にも絶対漏らしちゃダメってことになってたじゃろ。」
ヨルスウィズ「うん。」
マリスジェム「君、バラしたから厳罰ってことになってたじゃろ。」
ヨルスウィズ「うん。」
マリスジェム「あれ、お咎めなしになりそう。」
ヨルスウィズ「はあ!?何で?」
マリスジェム「レルハルニー君がヴェヒターの記録を開示して異議申し立てをしたんじゃ。」
マリスジェム「まあ、元より形ばかりの機密じゃったしな。大方レルハルニーくんの想定通りになるじゃろうて。」
ヨルスウィズ「マジかー。最後の最後に、一本取られたなー。」
ルナーティア「理解しかねる表情ですね、ゼディー最高議会員。言わなくていいことをわざわざ告げるという全くメリットのない行為自体も、大きな疑問ですが。」
ヨルスウィズ「メリットがない、ね。」
ヨルスウィズ「確かに、俺にとっては自分の首を締めるような行いだ。でも、俺たちのようなジジイがいなくなった後には、この国をいずれ、若者が継ぐことになるんだぜ。」
ヨルスウィズ「俺は今、自分より後進に興味があるんだよ。自分の未来より後進の未来を信じたいと思っているし、実際、それが楽しいのさ。」
マリスジェム「要するに君、若い子が好きなだけじゃろ。」
ヨルスウィズ「誤解を招くような発言は慎んでもらえますかー。いつどこでレルハルニー君が記録してるか分かんないじゃないですかー。」
ルナーティア「その心配はありませんよ。彼は今、自宅で休養中ですし。」
マリスジェム「見舞いとか行かんの?」
ヨルスウィズ「もうちょっとしたら行くつもりだよ。彼には色々謝罪しないきゃならねーこともあるし。」
ヨルスウィズ「あいつら二人の話がひと段落ついた頃にでも、ね。」
ルナーティア、マリスジェム「……。」
マリスジェム「え?あの子たち、まだひと段落つけとらんの?」
ヨルスウィズ「あいつら、ひねくれてるからさー。」

レルハルニー「……。」
アインレーラ「……。」
レルハルニー「……。」
アインレーラ「……。」
アシステア「たいへんよ、シエラお姉さん!先生とお兄さん、何だかずっと気まずそう!」
シエラ「話すの下手ねん、あの大人たち。星祝祭なんかもうとっくに終わってるのに。」
アインレーラ「あいつらのことは気にすんな。」
レルハルニー「そ、そうか?」
アインレーラ「そう。」
レルハルニー「……。」
アインレーラ「……。」
アインレーラ「やっぱ帰るわ。」
アシステア「ダ、ダメよ、先生!まだプレゼント、渡してないじゃない!」
アインレーラ「帰る。」
アシステア「ダメ!帰っちゃダメー!」
アインレーラ「スルー。」
「きゃー!」
「な、何で?あの指輪は先生のとっても大切なものなのに、お兄さんに渡さないなんて……、」
シエラ「いつまでたっても素直になれない大人って、生きづらそうねん。」
アインレーラ「お前に言われたくねーんだけど。」
アシステア「……!」
アインレーラ「『なるほど』って顔すんな。」
アシステア「で、でも……。仲直りしたのに、いつまでもおしゃべりできないなんて、よくないと思うわ。何か、あたしにお手伝いできること、あるかしら……。」
レルハルニー「だ、大丈夫だよ。今度、俺が会話のネタを作っておくから……!」
アインレーラ「普段の会話でそこまで気遣うなっての。」
レルハルニー「でも俺たち、会話のネタがないだろ。」
アインレーラ「何で言いにくいことだけズバッと言えるんですか?」
レルハルニー「仕事でお前を『見て』る時は、手出しも助言もできなくてひやひやするから嫌だったけど、あれはあれで気楽だったのかもしれないな……。」
アインレーラ「気楽さの比較にしちゃいけねーもんを並べんな。」
シエラ「ねえねえ、こういうのはどうかしらん?」
シエラ「えーい。」
アシステア「え?」
アインレーラ「は?」
レルハルニー「……、」
「げほっ、げぽっ!てめっ、シエラ!急に何し……、」
アインレーラ「……。」
アインレーラ「は?」
アシステア「きゃー!先生が!先生が!」
アシステア「ま、またあたし、失敗しちゃったんだわ!お姉さまにみっちり教えてもらって、補助魔道具まで貸してもらったのに……、」
シエラ「違うわよ。ほら、アインレーラの記憶が引き継がれてるでしょ?」
シエラ「それって、あなたの魔力制御の練習が実を結んで魔法が成功したってことじゃない。」
アシステア「……!」
アシステア「先生!あたし……、あたし、やったわ!」
アインレーラ「よかったな!」
シエラ「あら、とってもいい話。」
アインレーラ「どこが!?」
シエラ「あら、涙が出るほどいい話でしょ。大人のあなたじゃどうしてもできないことを、魔法の力でさせてあげようって言うんだから。」
アインレーラ「ぐっ……、」
アインレーラ「……。」
アインレーラ「……、」
アインレーラ「……レルハルニー。」
アインレーラ「遅くなった上に、……、一度壊しちまったけど。それでも、受け取ってくれたら、う……、」
アインレーラ「うれ、しい。」

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