第1話:お菓子の国からの招待状

フランシール、ゲルトルート『ノ・エール!ユウ、メルク!』

フランシール『元気かしら?今回は、あなた達に尋ねたいことがあって、手紙を送らせてもらったわ』
フランシール『今、お菓子の国全土で【聖雪祭】という5年に1度行われる、とても大きなお祭りの準備が始まっているの』
フランシール『このお祭りは、大切な人と過ごすのが伝統。他のワールドに出ていた人たちも、家族と会うために戻ってきているわ』
ジョルジュ「おーい、ガトー!こっちの飾り付けを手伝ってくれ!」
ガトー「今行く。」
ハロハロ「すてきなかざり、きらきらつやつや。」
フランシール『これから家族になるかもしれない人も』
フランシール『ごめんなさい、少し話が逸れてしまったわね。尋ねたいことというのは他でもないの』
フランシール『あなた達、聖雪祭に来ない?』

ゲルトルート『もちろん招待客として、だ。最上級のおもてなしを約束しよう。もっとも、それが無くとも聖雪祭は楽しいだろうけどね』
ゲルトルート『町全体が煌びやかに飾り付けられ、どれだけ歩いても飽きることはないだろうし……』
ゲルトルート『それにパネテオロ・ケーキ。うん、これがまたすごいんだ』
ゲルトルート『見上げるほどに巨大な黄金のケーキ。各ワールドの職人たちが腕によりをかけて作る、まさに聖雪祭の象徴だ』
ゲルトルート『こっちでは今まさに、パネテオロの作成に取り掛かって……、』
マーガレット「もぐもぐ。」
メレンゲ「ターネス兄ちゃん!マーガレットがまたパネテオロ用のグミ食ってる!」
ターネス「こらー、マーガレットォー!」
ゲルトルート「……『まぁ、お祭りにトラブルは付き物だよねえ』

フランシール『そうそう、おそらくこの手紙が届くころには、グミ・ワールドの王女からも、同じ内容の手紙が届いてるはずよ』
フランシール『あの方とも知り合いと聞いて驚いたわ……。あなた達の交友関係は、いったいどうなっているのかしら?』
フランシール『ともかく、聖雪祭の飾り付けやパネテオロは、ワールドによって大きく雰囲気を変えるわ』
フランシール『ぜひ、どちらのワールドにも訪れて頂戴。それぞれに違う良さがあるはずだから』
「何度も言ってんだろ!」
フランシール「……またあの2人ね。」
タルトレード「トリュフはもっと乗せるべきだ。これじゃ、全然足りねえ!」
オペラティオ「ばかもの……。これ以上乗せたら、見た目の美しさが損なわれるだろう。」
タルトレード「見た目の話じゃねえよ!この数じゃ、パネテオロを食べに来た子ども全員に、トリュフが行きわたらねえだろうが!」
オペラティオ「それなら俺が、別にトリュフを作っておけばいいだけの話だ!パネテオロに飾る必要性はない!」
タルトレード「パネテオロに飾ってあるからこそ美味いんだろーが!」
フランシール「……よくもまぁ、こう毎日喧嘩ができるものね。」
「乗せるぞ!」
「駄目だ!」
「そこまでにしなさい!2人とも、パネテオロ作りから外すわよ!」

ゲルトルート『そういうわけで、君たちにはぜひ、聖雪祭に来てほしい。検討してくれると嬉しいな』
グミ「おっじょおっさま~っ!」
ゲルトルート「うん?どうしたんだい、グミ。」
グミ「グラスさんが探してました!飾り付けのことで相談したいとか何とかっ!」
ゲルトルート「わかった、すぐに行くよ。ただ、最後のに少しだけ。」
ゲルトルート『ユウ、メルク。君たちとまた会えることを期待しているよ』

ユウ『ノ・エール。お菓子の国より、愛を込めて』
メルク「みゅふふ、楽しみなのですよ~!早くフランシールさんやゲルトルートさんに会いたいのです!」
ユウ「焦らなくても、もうじきに着くって。」
メルク「みゅ~、みゅふふ~♪もうじき、もうじきなっのっでっすよ~♪」
ユウ「はは、なんだそれ。」
ユウ「あ、ほら。この道を真っ直ぐに行けば、チョコレート・ワールドに入って……、」
ユウ「……ん?」
メルク「どうかしたので……、」
メルク「みゅみゅ?何やら土煙が……ん?」
ユウ「いや、お菓子の国だから土じゃないだろ。」
メルク「では、お砂糖?いやいや、クッキーの欠片という可能性も……。」
メルク「って、素材はどうでもいいのですよ!な、なんだか、あれ、近づいてきていないのです?」
ユウ「だ、だよな……。これ、もしかして逃げたほうがいいんじゃ……?」
「そこの御仁ー!」
?(パネットーネ)「逃げるのであぁーる!」
ザバヤン「ぶお~!」
キャンテ「……!」
メルク「や、やっぱりなのです!ユウさん、癒術の準備を!」
ユウ「あ、あの数は無理だって!」
ユウ「いや、待てよ。あの先頭を走っている人と連携すれば、もしかしたらチャンスも……!」
「がぼぼぼ……。」
メルク「すでにモンスターの波に飲まれているのです!」
ユウ「チャ、チャンスさーん!」
キャンテ「……!」
ユウ「ひっ!」
キャンテ「……!」
メルク「みゅわ!」
キャンテ「……!」
「ぎゃああああああ!?」

「……うん?」
?(シュクレーレ)「どうかしたのかい?」
「いや、気のせいみたいだ。」
?(シュクレーレ)「そう、それじゃあご挨拶をよろしく。みんな、キミの言葉を待ってるよ。」
?(シュクレーレ)「ロッシェ。」
ロッシェ「ああ、シュクレーレ。今日も美しく始めよう。」
ロッシェ「ノ・エール!親愛なるドロップタウンの民たち!キャンディ・ワールドの第一王子、ロッシェだ!」
ロッシェ「今日も美しく、そして完璧に……!この町を彩ろうじゃないか。」
ロッシェ「さぁ、聖雪祭の準備を始めよう!」
「わぁー!」
ラムネ「よし、行くよジェリリン。今日の依頼は赤色の飴玉30個の、Bランク以上の水あめ。急がないと、日が暮れるよ?」
ジェリー「ま、待って、ラーちゃん!あうっ!く、靴がぬげちゃった!」
カラメロ「ペロリ。」
ペレロ「ぺるる!?」
カラメロ「うんうん、良いお味。調子がよさそうで何よりだよ~。」
カラメロ「それじゃあ、粉砕組はついて来て~。今日もたくさん飴を砕こうね~。」
ペレロ「ぺるる。」
シュクレーレ「いい雰囲気だね、ロッシェ。」
シュクレーレ「ああ、美しいものだ。これならきっと、聖雪祭も成功するよ。」
「ロッシェ様、ご相談が。」
ロッシェ「なんだい?」
「2班の担当している飴玉加工ですが。少し、手が足りていないようで……、」
ロッシェ「わかった。手が空いた班を手伝いに向かわせるよ。」
「はい、ありがとうございます!」
「ロッシェ様!も、申し訳ありません!私の手違いで、品物に遅れが……!」
ロッシェ「落ち着いて。それは僕が引き受ける。……ところで君、飴細工ができたよね?」
「は、はい。」
ロッシェ「なら、君は2班に移って。5班の班長には僕から伝えておくから。」
「了解しました!」
シュクレーレ「また人の仕事を引き受けて……。」
ロッシェ「そっちのほうが効率的だ。適材適所。能力にあわせて人員を振り分けないと。」
シュクレーレ「……いつも思うけど、とても12歳の思考回路じゃによね。」
ロッシェ「当然。僕は歴代最高と呼ばれる王の息子だ。誰も普通の12歳の思考なんて望んじゃいない。」
ロッシェ「王族として美しく、完璧な判断を。僕に求められるのはそれだけだ。」
ロッシェ「この聖雪祭の準備だって失敗はできない。任せてくれた父上の顔を汚さないためにも、いつでも正しく、美しい判断を心掛けないと。」
シュクレーレ「フフッ、真面目だなぁ。だけど、そろそろ肩の力を抜いてもいいんじゃないかな?」
シュクレーレ「ドロップタウンの準備はもうほとんど終わってる。他の町に比べても、格段にはやくね。」
シュクレーレ「キミの采配が優れていた証拠だよ。期待は裏切らなかったさ。」
ロッシェ「……ありがとう、シュクレーレ。そうだな、準備の方はもう大丈夫か。」
ロッシェ「と言っても、気は抜けないが。シュクレーレ、パネテオロ・ケーキの点検に行くよ。」
シュクレーレ「はいはい、お付き合いしますとも。」

?(フロフィア)「ふわふわ。ふわふわ。ふわふわふわわわ。」
「わぁ、わたあめ細工だ!」
「かわいいー!」
?(フロフィア)「えへへ。」
ロッシェ「ノ・エール、フロフィア。ここにいたんだね。」
フロフィア「あ、にいさま。シュクレーレも。ノ・エール。」
シュクレーレ「ノ・エール、フロフィア。今日もわたあめ細工かな?」
フロフィア「うん。シュクレーレにも、ひとつあげるね。はい。どうぞ。」
シュクレーレ「おや、ありがとう。これは……ペレロだね。」
フロフィア「むぅ、これはにいさまだよ。」
シュクレーレ「あ、これは失礼……。つまり、これは目かな?}
ロッシェ「王冠だろ。」
フロフィア「にいさま、ごーかくです。」
シュクレーレ「王冠!?そ、そうか、ここが王冠なのか……。」
ロッシェ「わかってないな。飴細工職人の名が泣くぞ。」
シュクレーレ「うーん、フロフィアの中にあるイロとカタチは独創的だからね……。」
「あ、お星さまの形だ!」
「きれい!」
フロフィア「むぅ、あれはパネテオロなのに……。」
ロッシェ「気にすることはないよ、フロフィア。君が作るものは、どんな形でも美しい。そこには相手への思いが詰まっているからね。」
ロッシェ「彼女たちも、変だとは言っていないだろう?}
フロフィア「……うん、そうだね。ありがとう、にいさま。」
ロッシェ「良い子だ。」
フロフィア「そういえば、にいさまはどうしてここに?何か用事があったのかと思った。」
ロッシェ「おっと、そうだった。パネテオロの様子を見にきてたんだ。もっとも。心配はなさそうだけど……おや?}
?(クラリエテス)「……。」
ロッシェ「気に入ってもらえたかな?」
?(クラリエテス)「あら、失礼。お邪魔だったかしら?」
ロッシェ「とんでもない、ゆっくり見て行ってくれ。」
?(クラリエテス)「くすくす、どうもありがとう。」
?(クラリエテス)「立派なパネテオロ・ケーキね。これならきっと、黄の英傑様も喜ばれるわ。」
ロッシェ「へぇ、すごいね。その歳で黄の英傑様のことを知っているのかい?」
?(クラリエテス)「くすくす、読書が好きなお陰ね!」
フロフィア「黄のえーけつさま?」
ロッシェ「ああ、フロフィアは知らなかったか。ならこの機会に憶えておくといいよ。」
ロッシェ「パネテオロはね、かつてこの国に実在し、『黄の英傑』と讃えられた女王様の名前をいただいているんだ。」
ロッシェ「彼女の名前はパネテオロ・ノ・エール。ノ・エールのほうは聖雪祭の挨拶にもなってるね。」
ロッシェ「パネテオロ様は黄金の瞳を持ち、その肌と長い髪は美しい白だったそうだよ。」
フロフィア「わぁ……、見てみたかったな。」
ロッシェ「ふふ、そうだね。」
フロフィア「だけど、どうしてせーせつさいで、その女王さまとおなじ名前のケーキを食べるの?」
ロッシェ「それはね……、」
?(クラリエテス)「聖雪祭というのは、この女王様が為してくださったことに感謝するお祭りでもあるからよ。」
ロッシェ「あ。」
?(クラリエテス)「くすくす、王子様ばかりずるいわ!わたしにもしゃべらせてくださいな。」
フロフィア「女王さまがしてくれたこと?」
?(クラリエテス)「ええ!王女様は、この国の神話はご存じかしら?」
フロフィア「しってるよ。むかし、『キキン』っていう食べ物がなくなる病気がはやったんだよね?」
フロフィア「それをかなしんだ神さまは、ご自分のからだをおかしにかえて、大地にとけこまれたの。」
フロフィア「それからこの国では、おかしがたくさんとれるようになって、食べものにはこまらなくなったんだよ。」
?(クラリエテス)「あら、さすがは王族の方。その辺りについては詳しいのね!」
ロッシェ「よく覚えていたね、フロフィア。さすがは僕の妹だ。」
フロフィア「えへへ。」
?(クラリエテス)「わぁ、隙あらば仲良し兄妹!いいわいいわ、嫌いじゃないわよ!」
シュクレーレ「テンション高いね、キミ……。」
?(クラリエテス)「ともかく、そこを知ってるなら話は早いわ。パネテオロ様はね、まさにその神話の時代を生きた人なの。しかも、ただ生きていただけじゃないわ!」
?(クラリエテス)「なんと神様から、この国のお菓子を維持する役目を賜っていた、ウルトラスーパー頼られ女王様だったのよ!」
フロフィア「うるとらすーぱー……。」
シュクレーレ「全然すごそうに聞こえないのは、なんでだろうね……。」
?(クラリエテス)「パネテオロ様の使命は、この国からお菓子が消えてしまわないようにと、粉砂糖でできた、あま~い雪を降らせること。」
?(クラリエテス)「これが神様と一体化した土地と馴染んで、お菓子を野生に根付かせた……というのが、パネテオロ様の為した功績だと言われているわ。」
フロフィア「へぇ~。」
ロッシェ「驚いた……。フロフィアと変わらないぐらいなのに、そこまでのことを知ってるなんて。」
?(クラリエテス)「くすくす、本はなんでも教えてくれるもの!」
フロフィア「ねえねえ。それで、どうしてせーせつさいにはパネテオロさまなの?」
?(クラリエテス)「おっとっと、失礼!肝心なところを言いそびれちゃってたわ。」
?(クラリエテス)「あのね、聖雪祭は降雪で始まるの。神様とパネテオロ様がしてくださったことをわたしたちが忘れてしまわないように……、」
?(クラリエテス)「パネテオロ様が降らせてくださったのと同じ、あま~い粉砂糖の雪を降らすのが習わしなのよ。」
フロフィア「雪を……!」
シュクレーレ「前回の聖雪祭のとき、フロフィアはまだ3歳だったからね。憶えてないかもしれないけど……。」
シュクレーレ「国中が真っ白に染め上げられて、それはそれは美しい光景なんだよ。」
フロフィア「わぁ……!」
ロッシェ「それに、ただ美しいだけじゃない。」
ロッシェ「神話の再現により、国民の心には安心が生まれるんだ。かつて滅びかけたこの国が、まだこうして残っている。愛する人と、再び5年を越えたんだって。」
ロッシェ「フロフィア、よく覚えておくんだよ。聖雪祭は。このお菓子の国に生きる全ての人にとっての、救いの象徴でもあるということを。」
フロフィア「すくい……。」
フロフィア「それなら、絶対に成功させなくちゃだね。」
ロッシェ「ああ、その通りだ。だからこそ、準備は徹底して行わないとね。」
?(クラリエテス)「英傑様もそろそろ決まる頃合いだし、いよいよ大詰めという感じかしら?」
ロッシェ「ああ、いつ来られてもいいようにしておかないと。」
フロフィア「えーけつさま!パネテオロさまに会えるの?}
ロッシェ「あはは、違うんだよフロフィア。今世の英傑様は、『茶色の従士』という人に選ばれた2人の英傑様のことを言うんだ。」
ロッシェ「すなわち、赤と緑の英傑様。それぞれがパネテオロ様の勇気と優しさを象徴し、彼女の意志を継ぐ者と言えるね。」
フロフィア「えーけつさまが2人も……。」
?(クラリエテス)「くすくす、なんだかお得よね!そして茶色の従士に選ばれた英傑様が……。わたしたちに雪を降らせてくださるの!」
フロフィア「すごい……・」
シュクレーレ「フロフィア。何を隠そう、キミのお父様も英傑だったんだよ。」
フロフィア「とうさまが?」
ロッシェ「ああ、だいぶ昔のことだけどね。父上は緑の英傑として、この国に雪を降らせてくださった。ちょうど、僕を同じくらいの時だったと聞いてるよ。」
フロフィア「それじゃあ、にいさまも?にいさまも、えーけつさまに選ばれるかもしれない?}
ロッシェ「さぁ、どうだろう。英傑を選ぶのは、茶色の従士だからね。彼の基準にあわなければ、何とも。」
ロッシェ「でも、選ばれたらとても光栄なことだろうね。」
フロフィア「わ……。」
フロフィア「それじゃあ、にいさまがえーけつさまにえらばれたら、フロフィアがにいさまを……!」
「うわぁああああ!」
フロフィア、ロッシェ「……!?」
?(クラリエテス)「あら、今の……、」
ロッシェ「君たちはここにいるんだ!動くんじゃないぞ!」
フロフィア「あ、にいさま!」
シュクレーレ「フロフィア、いっちゃいけない。」
フロフィア「うう……。」
シュクレーレ「心配はいらない。ロッシェなら大丈夫だよ。」
フロフィア「……うん。」
シュクレーレ「キミも危ないから、ここでジッとして……、」
シュクレーレ「……って、あれ?さっきの子は?」

ロッシェ「なんの騒ぎだ。」
「モンスターです!モンスターが大群でこっちに!」
キャンテ「……!」
ロッシェ「キャンテか。パネテオロの匂いにつられてやってきたのか?」
「す、すぐに兵隊を呼んできます!」
ロッシェ「いや、間に合わない。君はそのまま安全なとこまで逃げるんだ。」
ロッシェ「それに兵士は必要ない。追い返すだけなら、僕ひとりで充分だ。」
「え……?」
ロッシェ「転がれ、飴玉。」
キャンテ「……!?」
「何も無いところから巨大な飴玉!?キャンテを蹴散らしていくぞ……!」
キャンテ「……!」
ロッシェ「何度来たって同じことだ。怪我をする前に帰ってほしい……、」
ロッシェ「ん?」
ユウ「た、助けてー!」
メルク「キャンテの波に溺れるのですよー!」
ロッシェ「……!跳ねろ、飴玉!」
ユウ「うわっ!?」
メルク「きゅ、急に跳ね飛ばされたのです!?」
ロッシェ「それっ、大丈夫かい?」
ユウ「あ、ああ……。ありがとう。」
キャンテ「……!」
ロッシェ「君達は下がっていて。ここは僕が……。」
ユウ「あ。待ってくれ!中にまだ埋もれてる人がいるんだ!」
ロッシェ「なんだって?」
メルク「あっ、あそこなのです!あの逆さまで脚だけ出している人なのです!」
「しーん。」
ロッシェ「再び跳ねろ、飴玉!」
「うおあっ!?」
「ぶほぉん!?」
ロッシェ「えっ、あれって……、」
?(パネットーネ)「うぼあぁあああ!ストレートに背中を打ったぁー!」
ザバヤン「ぶ、ぶおーん!」
?(パネットーネ)「え?……ああ!しょ、小生が落ちた衝撃で道にひび割れがぁー!?」
ロッシェ「だ、大丈夫かい?」
?(パネットーネ)「ああ、うむうむ!騒いではみたが、実際は痛くないので!まぁ、道は後で修繕するであるが……、」
?(パネットーネ)「むむ!そ、それより、貴殿!もしや、キャンディ・ワールドの第一王子、ロッシェ殿では!?」
ユウ「え、王子様!?」
メルク「ユウさん、ものすごくタメ口だったのです!」
ユウ「やべぇ!」
ロッシェ「ああ、たしかに僕はロッシェだ。そういう君はやっぱり……茶色の従士なのかい?」
パネットーネ「おお、ご存じであったか!左様、茶色の従士・パネットーネとは小生のこと!そしてこちらは、相棒のザバヤン。」
ザバヤン「ぶほぉ~ん!」
パネットーネ「知っておられるなら話は早い!ロッシェ殿、単刀直入にお願いするのである!」
パネットーネ「今世の『赤の英傑』、ぜひとも貴殿にお任せしたい!」


?(クラリエテス)「ふふふ、そう。彼が英傑なのね。」
?(クラリエテス)「やっと見つけることができた……。ここまで来た甲斐があったというものだわ。」
?(クラリエテス)「それじゃあわたしも、次を始めなくっちゃ。ああ、忙しくなってきたわね。」
?(クラリエテス)「くすくす、わたしとたくさん遊んでくださいな。英傑様?くすくす……くすくす。」
?(クラリエテス)「くーすくすくす!」
「おーい、お嬢ちゃん!屋根の上でポーズ決めてると危ないぞー!」
「良い子だから、降りて来なさーい!」
?(クラリエテス)「もーう!意味深な台詞と微笑みは屋根の上からって決まってるのにー!」
「降りてきなさーい!」
?(クラリエテス)「ぶぅ~!はぁ~い。」

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