第1話:異形の住まう地

ホイッパー「クエエ……?」
ホイッパー「クエエエ……、」
「……、」
「……、」
?(ターネス)「行ったか……。ったく、ツイてねえ。」
?(ターネス)「ここの森がいつの間にかこんなにデカくなってるとか聞いてねえし、モンスターはうようよいやがるし、なにより……、」
?(ターネス)「うおっと……!」
?(ターネス)「この木もかよ!森にまで襲われちゃあ、オレみたいな弱小スイーツハンターには荷が重いってえの!」
ホイッパー「クエエ……!」
??(ターネス)「ちっ、見つかった……!」
ホイッパー「クエエー!」
?(ターネス)「ったく、わかってるって!つつかれなくても、こんな森すぐにこっちから出ていくからよ!」
?(ターネス)「つーか、お前らが襲ってくるからいまだに脱出できてねえんだよ……!」
?(ターネス)「って、わけで……、」
?(ターネス)「勝手に入って悪ィな!今回は見逃してくれ!じゃーなっ!」
ホイッパー「クエエエッ!」
?(ターネス)「チッ、やっぱり追いかけてくるよなあ~……っ!けど、森にモンスターにって、んなの相手できっかよ!とにかく逃げ切って……、」
?(ターネス)「なっ!?」
?(ターネス)「うわああああっ!?」

?(ターネス)「いってェ~……、ここは……、そうか、窪地に転げ落ちたのか。」
?(ターネス)「モンスターは……、まだ追いついてきてねえな。不幸中の幸いだな。見つかる前に、とっととこの森を脱出して……、」
「……、」
?(ターネス)「チッ、もうモンスターが……!」
?(ターネス)「……なんだ?」
?(マーガレット)「……。」
?(ターネス)「……女の子ォ!?」
?(マーガレット)「……?」
?(ターネス)「っと、なんだよ、いきなり人の腕をつかんで……。つーか、そこさっきすりむいたとこだから、あんまり触んねえでくれねえか……、」
?(マーガレット)「……?」
?(ターネス)「いっ……!?なっ、んっ!?なんで舐めた!?」
?(マーガレット)「……、」
?(ターネス)「おい、いい加減に腕を離しやが……、」
?(マーガレット)「がぶっ!」
?(ターネス)「いってええええっ!」
?(ターネス)「なっ、んで噛みついてんだ!ぐっ、はっ……、なせ!このバカ!涙出るほどマジでいってェ!」
?(マーガレット)「……、」
?(ターネス)「ったく、なんなんだよ、お前は……!ッててて……、歯形くっきりついてるし……。痛すぎて泣くとか、マジダセー……。」
?(ターネス)「……っと、まずい!チッ、もう涙が飴に変わってやがる!」
?(マーガレット)「……!」
?(ターネス)「あっ、やめろ!その飴を食うんじゃ……、」
?(マーガレット)「はぐっ!」
?(ターネス)「なっ……、は、吐きだせ!」
?(マーガレット)「むー、むー!」
?(ターネス)「イヤイヤじゃない!口開けろ!」
?(マーガレット)「むがっ!」
?(ターネス)「げっ!もうない!」
?(マーガレット)「ばりばりした。」
?(ターネス)「おいおい、マジかよ……。なんともねえのかよ?」
?(マーガレット)「おいしい!げんき!かみさま!」
?(ターネス)「そいつはよかった……、って、神さまァ?」
?(マーガレット)「かみさま!」
?(ターネス)「……俺?」
?(マーガレット)「かみさまー!」
?(ターネス)「……俺は、神さまになんかにはなれねえよ。」
?(ターネス)「だいたいお前、どうしてこんなとこに……、」
「モグルルル……、」
?(ターネス)「……、」
?(マーガレット)「かみさま?」
?(ターネス)「静かにしろ。奥に大物がいる。」
?(マーガレット)「……?」
?(マーガレット)「きらい、まずい!」
?(ターネス)「食べ物の話じゃねえよ。モンスターの話だ。あそこにいるのは、たぶんこの森の長……、」
?(ターネス)「……なんだ?あの奥にあるのは……、」
?(マーガレット)「おかし!」
?(ターネス)「お菓子?まさか、あれが……、」
?(マーガレット)「まずい。」
?(ターネス)
「はあ?まずいって、食ったことあんのかよ。」
?(ターネス)「ありゃあ、数々のスイーツハンターが採取に挑んでことごとく失敗しているお菓子だぜ。まさか、こんな状況で見つけられるとは思わなかったが……。」
?(ターネス)「とはいえ……、」
「モグルルルウゥ……。」
?(ターネス)「この鳴き声の主が近くにいるんじゃ、採取は無理か……。つーか、んなことしたらますますこの森がデカくなりそうだしよ……、」
「クエーッ!」
?(ターネス)「チッ、さっきのモンスターが追ってきたか。早く撤収しねえと……、」
?(マーガレット)「……?」
?(ターネス)「お前は……、」
?(ターネス)「……しょうがねえか。」
?(ターネス)「おい、抱えてやるからしっかり捕まってろよ!どういう事情でこんなとこにいるのかは知らねえが、置き去りにするのも寝覚めが悪ィ!」
?(マーガレット)「かみさま、いっしょー!」
?(ターネス)「だから、オレは神さまじゃねえよ!」

メルク「みゅ~、ジャモさん。もしかして、道を間違えたのではないですよ?なんだか不気味な森にきてしまっているのですよ。」
ジャモ「地図はあってるじゃも。じゃもが、たしかにおかしいじゃもな~。地図が古いじゃもか……?」
ユウ「うわっ!」
メルク「ユウさん、どうしたのですよ!?」
ユウ「木に触ったら棘が出てきて……。まるで食虫植物みたいだ。」
ユウ「グミでできている木を植物って言っていいのかわかんないけど……。」
ジャモ「ひいい、恐ろしい森じゃも~っ!こんな森、早く抜けたいじゃもよおおっ!」
メルク「お菓子の国にはこんな森もあったのですね~。なんだか意外なのです。もっと夢とお菓子でいっぱいの国かと思っていたのですが……」
ユウ「だよなあ……。なにかあったのかもしれな……、」
「避けろ!」
ユウ「へっ!?」
キャンテ「……!」
ユウ「モンスター!?」
?(ゲルトルート)「キャラバンか。少し下がっていてくれ。」
「あなたは……、」
?(ゲルトルート)「話は後にしよう。先にこのモンスターたちをなんとかしないとね。」
?(ティーガー)「姫さま、援護しますよ。」
?(ゲルトルード)「ああ、頼むよ。」
ユウ「あっ、俺も手伝います!」
?(ゲルトルート)「おや?きみは……、」
?(ティーガー)「おそらく、王国の癒術士なる者かと思いますが……、」
?(ゲルトルート)「ああ、そういう者たちもいると聞いたことがある。ちょうどいいね。」
?(ゲルトルート)「では、癒術士殿。その申し出、ありがたく受け入れよう。前線は我々が引き受けるゆえ、後は貴殿にお任せする。」

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