第3話:粛清のエストレシア

ジェネペペ「みるるるっ!」
メティエ「癒術士ってのは便利なもんだな……。」
ヨー「そ、それで姐さん!こいつら、俺を助けてくれたし、船をモンスターから守るのも手伝ってくれ……、」
メティエ「だから、そいつらを助けてやれって?」
ヨー「は、はい!」
メルク「ヨーさん……!」
メティエ「……何を勘違いしてるのかは知らねえが、そもそもあたしにそいつらの処遇を決める権利なんてねえよ。」
メティエ「さっきの茶番は、あたしの趣味だ。」
ヨー「で、でも姐さんの言葉なら船長も……、」
メティエ「オイオイ、ヨー。テメェはどうしてこの船に乗ってんだ?」
ヨー「それは……、せ、船長に恩を返すためです!」
メティエ「なら、船に乗るときに、あたしはこう言ったよな?」
メティエ「この船の王様は船長だ。そして船長の意思をどうこうできるのは船長だけ。」
メティエ「あたしが言ってる意味、わかるよな?」
ヨー「は、はい……。」
メティエ「……なにもあたしは船長に楯突くなって言ってんじゃない。そういうことは、自分で船長に言え。それだけの話だ。」
ヨー「……。」
メティエ「……、ま、船長のことだから、テメェが想像してるようなことにはならねえよ。ちょっとばかし、あたしに影響を受けすぎだ、タコスケ。」
ヨー「はい……。」
メティエ「さァて、ソロ!」
ソロ「アイアイサー!」
メティエ「船を……、」
メティエ「伏せろ!」
ソロ「な、なんなんだ~!?」
メティエ「いきなり鉛玉ぶち込んでくるとは、随分なご挨拶じゃねえか。」
エストレシア「法を犯す海賊どもにつくす礼儀などあるわけないだろう。」
エストレシア「……ご自慢の船長の姿が見えないな。モンスターにでもやられたか。」
メティエ「ハ、ンなわけねーだろ。船長ならこっちの苦労も知らずにお休みタイムだよ。」
エストレシア「……相変わらず理解に苦しむ。」
エストレシア「だが、私には関係のないことだな。」
エストレシア「……総員、リベルディ海賊団をひとり残らず捕縛せよ!」
メルク「みゅ、みゅう~……、どうなっているのですよ~!?」
ユウ「よくわからないけど、海賊と海軍の戦いになってるみたいだな。」
?(セオドア)「……あれは、エストレシア大佐だ。」
メルク「知り合いなのです?」
?(セオドア)「いや、遠くから顔を見たことがあるだけだ。だが、父は優秀な銃の使い手だと言っていた。」
?(セオドア)「それから、相手が誰であろうと、法を犯す相手には容赦しないとも。」
ユウ「そう言えばヨーたちが話してた海軍も、エストレシア大佐だったな。」
メルク「ということは、あの人がここの船長さんの因縁の相手なのですよ?」
ユウ「みたいだな……。」
?(セオドア)「……海軍に助けを求めるなら、今しかない。」
ユウ「……でもそれだと、ヨーが……、」
メルク「ヨーさんはそこまで悪い人のようには見えなかったのですよ……。」
?(セオドア)「……だが……、」
ヨー「にぎゃああっ!」
ユウ「ヨー!」
ヨー「いってて……、おお、坊ちゃん!無事だったのか!」
ユウ「あ、ああ。ヨーこそ、吹っ飛ばされてきたけど、大丈夫なのか……!?」
ヨー「へへっ、このくらいメティエ姐さんのお仕置きに比べりゃあどうってことねえぜ。」
ヨー「それより、このへんはモンスターやら海軍やらで混戦状態だ。剣もろくに触れねえ坊ちゃん方にはちょっと荷が重いぜ。中に入って隠れてな!」
ユウ「それじゃヨーが……、」
ジェネペペ「ミルルルル!」
ヨー「あぶねえっ!」
ユウ「ヨー!」
ジェネペペ「ミルルル……!」
ヨー「言ったろ、うちに帰してやるまでは俺がしっかり守ってやるって。下がってな、坊ちゃんたち!」
ヨー「俺だって、リベルディ海賊団の一員だ。そこらのモンスターにゃ、負けねえぜ!」
?(セオドア)「……どうして……、」

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