第4話:綿のねずみと火吹き竜

ジャントール「……私は、夢を見ているのか……?」
スクウィーク「夢ェ?」
ジャントール「お前が現実にいるなんて、そんな……、」
スクウィーク「ありえないって?」
ジャントール「ああ、ありえない!お前は私の中にしかいない。彼女以外誰も知らない、私の……!」
ジャントール「密かな……、幻想だ……。」
スクウィーク「そうさ、よくわかってんじゃねえか。ほら、顔を上げてみろよ。」
ジャントール「……?」

ジャントール「……。」
ジャントール「……は?」
スクウィーク「ようこそ、相棒。夢と幻の世界、アローウィンの町へ!」
ジャントール「……。」
スクウィーク「なんだなんだ?呆けちまって。自慢のコイツで、ひと刺ししてやろうか?」
ジャントール「ああ、目が覚めるくらいのを頼む……。」
スクウィーク「そいじゃあ、お望み通りに!」
ジャントール「痛い!綿でできてるくせに!」
スクウィーク「そりゃあ現実のオレの話だ!」
スクウィーク「こっちのオレは数々の戦いを相棒と共に潜り抜けた、歴戦の凄腕ネズミだぜ。そしてこのレイピアは全てを貫く負け知らずの伝説の一振り!」
スクウィーク「……そういう設定だろ?」
ジャントール「……、」
ジャントール「……ああ。子供の頃は、眠りにつく前に私とお前でたくさんの冒険をした。」
ジャントール「火を噴く竜を倒し、魔法の靴で空を飛んだ。伝説のレイピアを手に入れるため、ゴーレムに勝負を挑んだり、星の海を泳いだり。」
ジャントール「そう、オレとお前は負け知らずの名コンビだった。」
ジャントール「……、だが、すべて私の想像の中のことだ。現実じゃない。伝説のレイピアも、星の海も……、お前も。」
ジャントール「どうなっているんだ。さっぱりわからない、ここはどこだ?」
スクウィーク「言ったはずだぜ?ここは夢と幻の町、アローウィンだ。」
スクウィーク「だから、お前の空想の産物であるオレが喋って、歌って、あげくは踊ったって、なんにもおかしいことなんてないのさ。」
ジャントール「……私は、いったいなんのためにここにいるんだ?」
スクウィーク「そりゃあ、お前が決めることだぜ、相棒。」
スクウィーク「けど、少なくともここにいるってことは、何かを求めてるってことさ。夢ってのはそういうもんだからな。」
ジャントール「……。」
スクウィーク「何がなんだかってツラしてんな。」
ジャントール「……。」
スクウィーク「ま、しょうがねえさ。人間は与えられすぎると、何が本当に欲しいものかわからなくなるもんだ。」
スクウィーク「ネズミのオレには関係のない話だけどな。オレが欲しいのはいつだって、頼りになる相棒と、王女様のキッスだけさ。」
スクウィーク「けど、それなら……、見ろよ、相棒!」
ジャントール「……?」
火吹き竜「ガオオオオオ!」
町の住人「タスケテー!」
町の住人「キャー!」
ジャントール「あれは……、」
スクウィーク「確認だ、相棒。悪いドラゴンにつかまってるのは?」
ジャントール「優しい、王女様……、」
スクウィーク「その通り!」
スクウィーク「さあ、相棒!オレとまた冒険に行こうぜ!」
スクウィーク「わかんないことばっかりなら、とにかく片っ端からブチあたっていけばいいさ!なんたってオレたちのレイピアは何でも貫くんだ。」
スクウィーク「お前とオレなら、破れない壁なんてどこにもないぜ!」
ジャントール「……。」
ジャントール「ああ……、」
ジャントール「そうだな。スクウィーク。お前は、そういうやつだった。」
スクウィーク「だろ?」

ユウ「ここが、あいつの言ってた城か……、」
メルク「みゅ、なんだか不気味な雰囲気なのですよ……。」
?(かぼちゃ)「ブキミー?」
?(本)「ギブミー?」
?(オバケ)「ケケケケケ!」
メルク、ユウ「うわあああっ!?」
?(本)「ヘンダ!」
?(かぼちゃ)「ハザマダ!」
?(オバケ)「ケケッ?」
?(本)「ドウスル?」
?(かぼちゃ)「ドウシヨ?」
?(オバケ)「ケケケケ~!」
ユウ「うわあっ!?」
ユウ「あっ、おい!」
メルク「ま、まずいのですよ!あの男の子からの預かりものが……!」
ユウ「あの白いオバケから取り返さないと……!」
?(オバケ)「ケケケ~!」
ユウ「あっ、待て!」
?(本)「マテー!」
?(かぼちゃ)「ツカマエテゴラーン!」
ユウ「って、お前らは一緒に逃げないのかよ!」
?(本)「ナンデー?」
?(かぼちゃ)「ドシテー?」
ユウ「さっきのヤツと仲間じゃないのか?」
?(本、かぼちゃ)「……?」
?(本)「チガウ。」
?(かぼちゃ)「ボクタチトチガウ~。」
ユウ「は、はあ?」
メルク「ユウさん!話は後なのです!追いかける方が先決なのですよ!」
ユウ「そ、そうだな……。」
ユウ「……それにしても全然怖くないオバケだな……。」

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