第7話:シーツオバケの少年

コゼット「……?」
シトルイユ「どうかしたかい?」
コゼット「ねえ、ミスター。あそこにあるおうちは誰のおうちなの?」
シトルイユ「家?あんなところに家なんてあったかな……。」
シトルイユ「また誰かの夢が創られたのかもしれないね。」
コゼット「入っても怒られない?」
シトルイユ「気になるんだね?」
コゼット「うん……。」
シトルイユ「それじゃあ、行ってみよう。もしかすると君の求めるものの手がかりがあるかもしれない。」
コゼット「ミスター……。ありがとう……。」
シトルイユ「……。」
コゼット「ねえ、ミスター、手を放さないでね。手のぬくもりが消えたとき、わたしはきっとすべてを忘れてしまうから。」
シトルイユ「もちろんさ。ちゃんとエスコートさせてくれたまえ、小さなお嬢さん。」

シトルイユ「小さな家だなあ……。」
シトルイユ「よし!それじゃあコゼット。まずは私が入ってみよう。」
コゼット「えっ……、」
シトルイユ「なあに、心配いらないさ。すぐに君の手を引いてあげるから。」
コゼット「そうじゃなくて……、」
シトルイユ「さあ、中はどんなふうに……、」
シトルイユ「ウッ!」
コゼット「……。」
「ウググググ……!」
「……フウ。」
「すまない、コゼット。私の足を引っ張ってくれ。」
「紳士として情けないことだが、この小さな扉に私の頭は大きすぎたようだ。」
コゼット「だから止めようとしたのに……。」
コゼット「うーん……!」
「ウググググ!」
コゼット「わたしの力じゃ無理みたい。せめてもうひとりいれば……、」
町の住人(シーツオバケ)「僕が手伝ってあげるよ。」
コゼット「あなたは、さっきミスターに挨拶してた……。」
町の住人「そうだよ。」
町の住人「さあ、ミスターを引っ張り出そう。君は右足、僕は左足。それ。いち、にの、さん!」
「ウググググ!」
シトルイユ「ウッ!?」
コゼット「ああ、コゼット、ありがとう。通りすがりの君もね。なんとか出ることができたよ。」
コゼット「かぼちゃ、へこんでない?」
シトルイユ「なんだって!?私の大切なかぼちゃ頭が!」
町の住人「そりゃそうだよ。あの家は君には小さすぎるもの。」
町の住人「入りたいのなら、もっと小さくならなくちゃ。僕たちくらいにね。」
シトルイユ「ウウン。だが……、」
町の住人「何を迷ってるんだい?」
町の住人「ここは夢の町。姿なんてミスターの思いのままさ。よく知ってるだろう?」
シトルイユ「それはそうだが……、」
シトルイユ「はて、私は何に悩んでいるんだろう。」
コゼット「……、ミスター、もしかすると、それはミスターにとって大切なことなのかもしれないよ。」
シトルイユ「そうだろうか……。だけど君がいうなら、そうなのかもしれないね。」
コゼット「わたしなら大丈夫だから、ミスターは外で待っていてくれる?」
シトルイユ「だが、それでは君のエスコートができない。」
町の住人「それなら僕が代わりにしてあげる。」
シトルイユ「君が?」
町の住人「任せてよ、僕は何度も練習したからエスコートには自信があるんだ。」
シトルイユ「……それじゃあ、君に任せよう。」
シトルイユ「すまない、コゼット。私は君が出てくるのを待ちながら、大切なことについて考えてみることにするよ。」
コゼット「それがいいよ、ミスター。本当はわたしもあなたも、忘れたくなんかなかったと思うから。思い出せるなら、そっちの方がいいんだよ。」
町の住人「それじゃあ、お嬢さん。扉を開けてあげよう。ミスターのエスコートは間違っていたからね。」
町の住人「紳士は決して、女性の心に無断で踏み込まないものさ。」

ユウ「ようやく追い詰めたぞ!」
「ケケケ~!」
メルク「みゅっ!ユウさん!あそこの部屋に入ったのですよ!」

ユウ「ここは……、」
?「ケケケ~!」
メルク「さあ、それを返すのですよ!」
?「ケケケ~!」
ユウ「今度は逃がさないからな!」
?「ケケっ!?」
ユウ「いったた……、」
メルク「みゅっ、ユウさん、お手柄なのです!無事確保なのですよ~!」
?「ケケ~!」
ユウ「わっ!?」
ゴースティ「ケケ~ッ!」
メルク、ユウ「モ、モンスター!?」

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