第5話:窓の向こうへ

エンゼガル「ぐるるる~っ!」
ユウ「ああ、よかった……。乗せてくれるみたいだ。」
オルトス「君、本当に癒術士だったのか。」
ユウ「そうだよ!まだ疑ってたのか……!」
オルトス「ああ、悪かったよ。君があまりに僕が想像していた癒術士像とかけ離れていたものだから。」
ユウ「それで謝ってるつもりなんだ!?」
エンゼガル「ぐるるる~!」
ユウ「ああ、もういいから。ほら、早くお前も乗れよ。後ろがつかえて、モンスターが渋滞しそう。」
オルトス「わ、わかってるよ。」
オルトス「……。」
ユウ「……。」
オルトス「……。」
フラフィ「くるるる!」
ユウ「わかってるなら、早く乗れよ!後ろからブーイング受けちゃっただろ!?」
ユウ「はっ!まさか地上の民と相乗りはいやだとか言わないよな?」
オルトス「そ、それはもちろん嫌だけど……、」
ユウ「でも、引き受けてくれたのはこのモンスターだけなんだから、しょうがいないだろ!いい加減、塔から出て……、」
ユウ「……、」
ユウ「……あ、あー、そうか……。外に出たことないんだったよな……。」
オルトス「……!」
ユウ「……どうする?」
オルトス「……どうするもなにも、行くに決まってる。第一、君は僕がいなけりゃ、友達の居場所さえわからないだろ。」
エンゼガル「ぐるるる~!」
ユウ「よし、それじゃあお願いします!」
エンゼガル「ぐるる!」
オルトス「モンスターって、意外と柔らかくて暖かいんだな……。塔から眺めたことしかなかったから、知らなかった……。」
ユウ「……初めて外に出た感想は?」
オルトス「……一緒にいるのが地上の民でさえなければ、最高だった。あ、僕の半径1メートル以内に近づかないでくれよ。」
ユウ「この狭さで無茶言うな!」
ユウ「というか、地上の民を連れて聖都に行くんだから、今更そんなこと気にしても……、」
オルトス「君は1度、やむをえない理由で盗みを犯したら、2度の盗みも、3度の盗みも同じだっていうのか?」
ユウ「それは違うけど……、」
オルトス「そういうこと。」
ユウ「俺、こんなに邪険にされたの、初めて」

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