第2話:バレンティア城へ

ジネット「それにしても、成り行きとはいえ君たちまで巻き込んじゃってごめんよ。」
ジネット「あっ、別にボク1人で十分だって意味じゃないからね!?あっ、あと、レド兄なら巻き込んでいいとか、そういうわけでもないからね!?」
タルトレード「なら巻き込むんじゃねーよ!」
メルク「ま、まあまあ。私たちなら大丈夫なのです。気にしないでほしいのですよ。」
ユウ「雇い主のジャモさんが決めたことだしな……。」
メルク「それに女王様のお城に行けるなんてとってもワクワクするのですよ!」
メルク「あの遠くに見えるのが、女王様のお城なのです?」
ジネット「えへへ、そういってもらえるとありがたいや。」
ジネット「女王様のお城は、そうだね……、徒歩で1日か2日ってところかな。期限の誕生日までぎりぎりだけど……。」
タルトレード「……材料はどうすんだよ。」
ジネット「道中でボクが調達するよ。なんたってここはチョコレート・ワールドなんだからさ。」
タルトレード「ま、そうだな……。」
ユウ「たしか、お菓子の国のお菓子は、そのまま食べられないんだったよな……。」
ジネット「その通り。採取したお菓子を加工して、原料にして、そしてもう一度、お菓子の形にするんだ。」
メルク「その原料になるお菓子を採りに行くのが、スイーツハンターという仕事なのですね~。」
ジネット「そうそう。どこでだって原料自体は手に入るけど、より質のいいものを探して採取するのが、ボクらの役目さ。」
メルク「なるほど……。お菓子はなかなか奥が深いのですよ……。」
ジネット「だから、材料に関しては任せてよ。ボクなりにとびっきり質のいいチョコレートを見つけてみせる。」
ジネット「これがスイーツハンターとして、ボクがレド兄にできることだと思うからさ。」
タルトレード「……。」
ジネット「レド兄、ボクの頼みを引き受けてくれてありがとう。」
ジネット「レド兄がどうしてショコラティエをやめたいのかボクにはわからないけど……、」
ジネット「ミル兄があそこまで興味を示すのは、レド兄のチョコレートだけなんだ。」
ジネット「だからきっと、レド兄のチョコレートには何かがあるんだよ。」
タルトレード「……、」
タルトレード「オレは……、」
メルク「みゅっ!?ジネットさん、あそこを見るのですよ!」
ユウ「あれは……、モンスターの群れが走ってるんだ……!」
ジネット「あのモンスター……、」
ジネット「プルナーの群れだ!」
メルク「ジネットさん?」
ジネット「ラッキーだよ、メルクちゃん!あのモンスターはチョコレートが大好物なんだ。それもとびきり上質のね。」
ジネット「だからこの群れを追いかければ、材料として申し分ないチョコレートがあるはずさ!」
ユウ「そ、それはいいけど……、」
メルク「私たちの方に向かってモンスターが走ってきてるのですよ~!」
ユウ「癒されてないモンスターだったのか……!」
プルナー「キャンキャンッ!」
メルク「ジネットさん、危ないのです!」
ジネット「わっ!」
タルトレード「ちっ、しょうがねえな!下がってろ!」
ジネット「レド兄!?」
タルトレード「オレだって一応は戦えるんだよ!」
メルク「タルトレードさんの投げナイフが……!」
プルナー「……ワフ?」
メルク「あさっての方向に飛んでいったのですよ!?」
ユウ「俺とそう変わらない!」
タルトレード「うるせー!一応って言っただろーが!」
プルナー「ワウウッ!」
メルク「みゅわわ!タルトレードさんがモンスターに囲まれたのですよ!」
プルナー「ワフンッ!」
タルトレード「……っ!」
プルナー「ワフッ!?」
タルトレード「ジネット!?」
ジネット「これでもボクはスイーツハンターの端くれなんだよ?レド兄よりは戦えるさ。」
タルトレード「あのモンスターの包囲網から助けてくれたのは礼を言うが……、」
タルトレード「なんでオレをお姫様抱っこした……!」
ジネット「とりあえず囲まれてるのから、逃げないとと思って……。」
ジネット「大丈夫!レド兄、軽いから!」
タルトレード「……!?」
ジネット「それじゃ、ここで待っててよ?ユウくん、癒すのはお願いしたよ!」
ユウ「あ、ああ。」
メルク「この中の誰よりも男らしいのですよ……。」
タルトレード「……。」
ユウ「き、気持ちわかりますよ……。」
タルトレード「う、うるせー……!」

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