第2話:九子那と須佐

村娘「助けてくれてありがとう……!癒術士のお兄ちゃんも、笠のお兄ちゃんも……。」
?(しぐれ)「僕の方からも、あなたたちに感謝を。僕だけでは彼女を守り切れないと思っていたところだったのです。」
?(しぐれ)「襲われているところを見かけて助けに入ったのですが、まだまだ僕も精進が足りないようですね……。」
ユウ「とにかく無事でよかったよ……。」
?(しぐれ)「そういえば、あなたの村はどこですか?まだ癒やされていないモンスターが残っているかもしれません。家まで送っていきますよ。」
村娘「えっとね、あっちにある村!私のお母さんが宿を経営してるの。」
商人・ジャモ「そういうことなら、もともとそこで宿を取るつもりだったじゃも。目的地が一緒じゃもから、ついでに一緒にいくじゃもよ。」

宿屋のおかみ「もう、どこへ行っていたの!村の外はモンスターが出て危ないって言ったでしょう!」
村娘「ご、ごめんなさあいっ!」
宿屋のおかみ「あの、旅のお方……、娘をここまで送ってきていただいて、ありがとうございます。」
宿屋のおかみ「よければ、今晩はうちの宿に泊っていってください。お代の方は割り引かせていただきますから。」
商人・ジャモ「いいじゃもか?そんなつもりじゃなかったじゃもが……、ここはありがたくお言葉に甘えさせてもらうじゃも。」
ユウ(絶対、そんなつもりだっただろ……)
?(しぐれ)「それにしても、どうして危ないとわかっていながら外へ?何か用事でもあったのですか?」
村娘「……九子那の当主様に、お願いしに行こうと思って……。」
?(しぐれ)「お願い?」
村娘「……最近、このあたりにモンスターがたくさん出て、みんな困ってるから、なんとかしてくださいって。」
ユウ「それって……、」
宿屋のおかみ「やっぱり、そろそろ引っ越しを考えるべきなのかしらね……。」
?(しぐれ)「……。」
?(しぐれ)「引っ越し、ですか。」
宿屋のおかみ「ええ、このままここにいたら、いつモンスターが村を襲ってくるかわからないし、九子那の当主様は……。」
宿屋のおかみ「それなら、まだ須佐に行った方が、初めは大変かもしれないけど、モンスターに怯えることはないのかもしれないわ……。」
村娘「で、でも私、九子那から出てくのやだよ!」
宿屋のおかみ「そうはいってもねえ……、数年前なら城下町に引っ越してもよかったのだけど……。」
ユウ「今は無理なんですか?」
宿屋のおかみ「数年前に、大量のモンスターがこの先の村々を襲ったことがあってね。」
宿屋のおかみ「怪我人はあまり多くなかったんだけど、村がめちゃくちゃになったらしいのよ。」
宿屋のおかみ「モンスターも、いつまた襲ってくるかわからないってことで、多くの人が城下町に引っ越したみたい。」
宿屋のおかみ「小さな村ばかりだったけど、なんせ村のほとんどの人が引っ越したからねえ。今、城下町に行っても働き口が……、」
?(しぐれ)「……、」
ユウ「あ、あの……、」
宿屋のおかみ「……?」
ユウ「よかったら、村の周りのモンスターを癒やしてきますけど……。」

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